転職は「逃げ」なのか?
イヤになったらすぐ転職するなんて、それは「逃げている」だけだ。
こんな意見をちらほら見かけます。
今は売り手市場でもあり、比較的転職しやすい状況ですが、まだまだ転職に対してネガティブなイメージが強いのかもしれません。
会社勤めを3年以上続けたことがない、転職回数8回の経験をもとに話したいと思います。
実は今日
「転職するのは逃げなのか?悪いことなのか?」というような記事を読みました。
その記事では転職回数5回の方がご自分の意見を綴っていました。
その方は冒頭、「転職は逃げだ、悪いことだ」と結論付けていました。
「ひとつの会社に勤めて退職金満額もらえる方がいいに決まってる」とも。
果たして本当にそうなのでしょうか。
私はそうは思いません。
結論から言うと私の意見は
「転職は逃げでもないし、悪いことでもない」です。
なぜ転職が「逃げ」なのか
転職を逃げだと思っている人は、おそらく以下のような人です。
A. 仕事がつらい時もあったけど今はうまくいっている
B. 仕事に不満があるけど我慢して働いている
なかでも声高に「ふざけんな、転職なんて逃げに決まってる」と攻撃的に言う人ほど B に当てはまると思います。
転職を逃げだと攻撃する人は、その人自身「転職したい」と思っているのに、「いやそれは逃げだ」と自分に言い聞かせてるのではないでしょうか。
だから「転職したい」と言ってる人を見て必要以上に責めてしまう。
つまり「転職を逃げだと言う人」は「本当は転職したいけど我慢してる人」です。
そして、AにもBにも共通して言えるのが「努力教信者」だということです。
「努力教信者」とは?
努力教信者とはつまり
「努力すれば報われる」と刷り込まれた人のことです。
社畜を量産して企業が労働者を搾取する仕組みを作ってきた日本の教育にまっとうに洗脳された人のことです。
彼らは「報われない努力」があることを知りません。
いや、知っているけれども、信じていません。
「努力すれば報われる」と固く信じているのです。
しかもその努力の方向は、企業あるいは経営者に都合のいい努力なので、本当のところ経営者にとって都合のいい「努力」であり、個人の幸せに必ずしも結びつく努力ではないのです。
つまり「転職は逃げだ」と思ってしまう人は、完全に洗脳されているのです。かわいそうに。アーメン。
転職回数が多ければ転職には不利
転職は逃げでもなければ悪いことでもないですが、でもやっぱり転職回数が多くなると当然転職しづらいです。
なぜなら履歴書を見て
「こいつすぐ辞めるな」
と思われてしまうからです。
さらに言うと努力教の信者ならば
「こいつすぐ逃げるな」
と思われてしまうこと必至です。
私の履歴書なんて、見たら絶対すぐ辞めると思われることでしょう。
転職回数が多い=履歴書が汚い
ここで転職回数8回の私のことを話しておきます。
現在47歳、キムタクと同い年、団塊ジュニア、就職氷河期世代の私は8回も転職してしまいました。
履歴書汚れまくりです。
書くのもうめんどくさいくらいです。
直近ではなんと先月転職したばかり。
現職わずか1カ月です。
しかも職歴はめちゃくちゃで、履歴書からは一貫性が全く読み取れません。
簡単に紹介するとこうなります。
1社目:医療機器の営業
2社目:商品開発
3社目:イラストレーター(フリーランス)
4社目:アパレル小売ウェブショップ担当
5社目:飲食 次期社長候補(という求人だった)
6社目:労働マルチ(飛び込み営業のようなもの)
7社目:内装デザイン
8社目:電気工事会社でインテリアコーディネーター
9社目:オフィス家具営業←いまここ
いつも履歴書には5社目の飲食と6社目の労働マルチは書きません。
なぜなら飲食は2ヶ月で辞めたし、労働マルチは業務委託で正確には会社員ではないので。
というのはまあ言い訳で、もう書くこと多過ぎて面倒なので端折ってるだけですが。
このように会社員としては最長で3年5ヵ月(商品開発)、最短ではなんと2ヶ月です。2ヶ月ってすげえなおい。どんだけ堪え性ないんだよ、と自分でも言いたくなりますが、2ヶ月で10キロも痩せちゃったんだからしょうがない。
というわけで、私の職歴はどうにもこうにも一体何がしたいんだか全くわからない。
しかもただ堪え性がなく逃げてるようにしか見えない。
どう見てもこいつ打たれ弱い。
自分でもそう思います。
私が人事担当なら絶対採用しません。
でも「その振り幅がこれからは武器になる」という人がいます。
キングコングの西野亮廣氏です。
100人にひとり×100人にひとり
西野亮廣著「新・魔法のコンパス」にはこう書かれています。
「1万時間の法則」というのがあり、一つの分野に1万時間(だいたい毎日9時間×3年くらい)費やせば、100人にひとりの人材になれる、しかし100人にひとりではぶっちゃけたいした価値はない、でも、Aというジャンルで1万時間、Bというジャンルでも1万時間費やせば、“100人にひとり×100人にひとり”で『1万人にひとり』になれる、そうすればあなたの希少価値が上がる
というようなことが書かれているんですね。
で、さらに言うと「AとBとはなるべく離れたジャンルの方が良くて、その方が希少価値が上がる」というんです。
実際西野亮廣氏は「芸人」と「絵本作家」という掛け合わせで「1万人にひとり」という希少価値を持っています。
「お笑いができる絵本作家」という仕事はほぼ彼に来る、ということなんです。まあそうだろうね。
この話に飛びついたね、私は。
職歴はどの職業も3年くらいが多いし、振り幅も広い。
営業3年×商品開発3年×イラストレーター13年×インテリアコーディネーター3年で、え、1000万人にひとりの超逸材じゃん!おれ!
しかもイラストレーターなんて「千三つ」とかいって1000人に3人しかなれないところで10年以上やってるし、1000万人にひとりどころかもっと希少価値あるよねえ?
バカだねえ、おれ。
お父さんお母さん、私をこんなに自己肯定感が強い人間に育ててくれて本当にありがとう。
普通の会社員には希少価値は求められない
でも実際問題、こういう希少価値はサラリーマンにはあまり求められない、というのが47歳で転職したおっさんの実感です。
スタンドプレーが重要な西野氏のような有名人ならともかく、サラリーマンとして求められているのは、その会社が扱っている商品に対しての「熟練度」と「深度」です。
同じ業界で8回転職して熟練度と深度を極めていってるのなら、それはサラリーマンとして求められる人材ですが、私のような職歴の人間はただ単に「すぐ逃げる人」としてしか捉えられないことの方が圧倒的に多いです。
西野氏も例として「タクシーの運転手」×「英語力」というのを挙げていますが、そんなのくらいしか例えがなかったのではないでしょうか。
そういえば私も英語が話せます。
職歴じゃなく、スキルでいうと
「英語が話せて、Illustratorが使えてPhotoshopが使えて、CADが使えて、商品開発できて、ウェブショップ作れて、インテリアコーディネートができて、カーテンレールの取付もできる」というのが私の希少価値なので、これ一体何万人にひとりだよ?おれってめちゃくちゃすげえじゃん!お父さんお母さんありが(以下略
というのが感想ですが、ほとんど認めてもらえることはありません。
転職が逃げでも悪いことでも転職したけりゃすればいい
また自分語りが長くなってきましたが、このように自己肯定感が非常に強く、自己評価では希少価値がものすごい高い私でも転職するのはすごく時間がかかりました。
なぜなら「転職は逃げ」という考えの方がまだまだ優勢だからです。
その人の希少性よりも、転職してばかりの「逃げる人」というマイナス面の方がやっぱり目につくからです。
今の会社は、医療機器営業×図面が読める×営業できる、という人材をちょうど求めていたので、運良く転職することができました。
なので私自身も私自身だけが評価している私の希少価値を評価してくれる企業が現実に本当に存在したことに今はただ驚いているところです。
でもね、そういう出会いもあるんです。
逃げたっていいじゃない。
悪いこと、ったって犯罪おかしてるわけじゃないんだから。
世の中には会社はごまんとありますよ。
その中にはあなたを評価してくれる会社だって必ずあります。
つらいの我慢しているよりも、どんどん逃げて新しい出会いを求めたって別にいいじゃん。
ただ、近しい人からの風当たりは強いです。
特に嫁。
まああたりまえですね。
私の稼ぎが家族の生活に直結してるんですから。
嫁は
「がんばらなくてもいいよ」
「無理しなくてもいいよ」
「なんとかなるよ」
「みんなでがんばろう」
とは
決して言いません。
嫁はこう言い放ちました。
「転職は何があってももう絶対するな」
次転職するならもう一人で生きていけ、とのお達しが出ました。出て行けってことですね。
まあなんてきびしい嫁。
まるで世間様のよう。
ああ世知辛い。
というように、いろいろな個人の事情が誰しもあるでしょう。
なので一概に転職が逃げだとか悪いとか断定することはできませんが、
私はあえて断言します。
「転職して逃げろ!」
おしまい
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