タバコ吸って デスクに座って カタログを見たら 視界の真ん中に太陽を直接見た時の残像のような点が見える。
そんな強い光みたかな?と疑問に思うがもちろんたいして気にしてない。
が、カタログの文字がまるで読めない。
視界の真ん中に残像があるため文字を隠してしまうのだ。
しばらく目を閉じて残像が薄くなるのを待つ。
・・・
一向に薄くならない。
はじめは本当の残像のように緑色の抜けでしかなかったのがだんだん形を変えていく。
縁どりだけのプリズムのような物体が視界のまん中に浮かんでる。
浮かんでる物体の向こう側は全然見えない。
やばい、目が見えなくなる。
とっさに浮かんだのが網膜剥離。
ボクサーがよくなるアレだけど、昔ラグビーやってた時にコンタクトレンズ作りに眼科へ行ったら、診察の後こう言われた。
「網膜剥離になりそうなので気をつけてください」
で真っ先に思い浮かんだのが網膜剥離。
目の前のPCで「網膜剥離」を検索してみる。
当たり前のことだが目が見えにくくなると検索ができない。今はまだ「見えにくい」レベルなので検索できるが、急に目が見えなくなったらgoogle 先生に聞くこともできなくなるのか、と思うと軽くぞっとした。まあSiriに聞きゃいいか。
画面に並んだ網膜剥離の結果を見ていく。
どうも網膜剥離の症状ではなさそうだ。
飛蚊症は以前からずっとあるけど。
今度は「目の病気 症状」で聞いてみる。
「充血」とあったので、そういえば今この目はどういう状態なんだろうとトイレに鏡を見に行く。
これも当たり前だが、自分の目がどういうふうになっているのかは自分の目では見えないのだ。
充血はない。
見た目には特におかしなところもない。
そして確信した。
これは目の疾患ではない、たぶんアタマだ、脳がやられてる、と。さすがおれ。アタマいい。
PCの前に戻る。
脳がなんかまずいとなるとどういうふうにgoogle 先生に聞けばいいのかわからない。
もうとりあえず症状をぶち込んだ。
「目の前にプリズムみたいなギラギラしたの」
この時点で、はじめは米粒くらいの大きさだった焼き付けが徐々に広がってきている。今は卵くらいの大きさだ。
やばい。
これまじでやばい。
ダメだ。
終わった。おれはもうダメだ。死ぬ。
さようなら。
みなさんさようなら、先生さようなら。
と思ったところで出てきた。
「閃輝暗点」
「閃輝暗点」とは?
閃輝暗点(せんきあんてん)もしくは閃輝性暗点(せんきせいあんてん)とは、片頭痛の前兆現象として現れることが多い視覚の異常で、定期的に起こる場合が多い。(Wikipediaより)
症状としては
まず視野の中心あたりに太陽を直接見た時の残像のようなキラキラした点が現れる。その後その点はだんだんと拡大し、ドーナツ状にキラキラと光るギザギザしたガラス片や、のこぎりのふちのようなものがチカチカしながら視界の隅に広がっていく。これらの視覚的症状は短時間のうちに進行し、やがて5分から40分くらいかけて視野の外まで広がり出て消えていく。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%83%E8%BC%9D%E6%9A%97%E7%82%B9
おお!まさにこれだ!これですよ。さすが先生。
Wikiの画像もなかなかに再現度が高い。
十分伝わる。
どうやらすぐに死ぬわけではなさそうなのでひとまずほっとした。
安心すると余裕が出てきたので私もPhotoshopで再現してみた。
こんな感じ。
たいていは閃輝暗点の後片頭痛が起こることが多いらしい。
だから閃輝暗点は片頭痛の予兆として起きるものととらえられている。
私の場合は片頭痛は起きなかった。
どうやらおっさんだからのようだ。
男で若くない、という意味でのおっさんだから。
とにかくいきなり死なないようでよかった。
さらに検索すると閃輝暗点を経験した人がたくさんいた。
「死んだときに医療の進歩に役立ててくれ」とツイッターで閃輝暗点のログをつけている人もいた。
その人はまだ大丈夫のようだ。生きてるっぽい。
まあ「死んだ」とはつぶやけないから何とも言えないが。
ほかにも週に6回も閃輝暗点する人もいるようだからとりあえずはまあだいじょうぶだろう。
そろそろこのブログに息子たちへの遺言でも書いておこうか。
いやー、まじびびった。
あなたは知ってましたか?閃輝暗点。せんきあんてん。
おしまい