「きみのための物語」4
それは18年前。
大きな地震が世界をおそい、続けてたくさんの雨と雷が80日間降り続きました。
ほとんどの地面は水で覆われ、人々は洪水から逃げるために高い山に登りました。洪水を逃れた人々は大地を捨て、山奥で生活しなければなりませんでした。
洪水がひくと今度は80日間雨がまったく降りませんでした。
山に逃れた人々も水がどんどんなくなっていき、ほとんど生き残ることはできませんでした。
それでも生き残った人々はなんとか暮らしてきましたが、大災害の後の地上には今まで見たことのない生き物が現れたのです。
その生き物たちは昔のおとぎ話にでてくる生き物にそっくりでした。
キメラ、スライム、トロル、サイクロプス、ケルベロス、そしてドラゴン。
こういった生き物たちは人間を襲いました。
数少ない生き残りの人々はこうした怪物たちにおそわれ、さらに少なくなっていきました。
このままでは人間はいなくなってしまう。
そんな時、現れたのがゆうしゃです。
ゆうしゃは人間ですが、それまでの人間とは比べものきならないほどとても強かったのです。ゆうしゃは体こそそんなに大きくはありませんでしたが、重さがないのかと思うほど高く跳び上がり、大人が3人がかりでやっと持ち上げるような重い武器も軽々と操りました。そしてその強さでたくさんの怪物たちを次々に倒していきました。
なかでも特に強かったのは「ゆうしゃまさと」でした。
それまでもたくさんのゆうしゃたちがいましたが、怪物たちの親玉「蛾蛾王(ががおう)」にはどんなゆうしゃも勝つことができませんでした。
その怪物たちの親玉「蛾蛾王」をはじめて倒したのが「ゆうしゃまさと」です。
まさとは「伝説のゆうしゃ」として、人々に語りつがれる存在だったのです。
そして現在。
ゆうしゃが蛾蛾王を倒してからも怪物たちはいました。でも蛾蛾王からの呪縛から解き放たれた怪物たちはもう人をおそうことはなく、人間と怪物がうまく暮らす世界が訪れました。
しかし突然、また怪物たちが人をおそいはじめます。
そうです、蛾蛾王に代わる別の怪物の親玉が現れたのです。
人々は蛾蛾王がいたころのことを思い出して、恐怖に打ちのめされていました。
「ああ、こんな時ゆうしゃさまがいてくれたら」
誰もがそう思っていました。
そして人々は「ゆうしゃ復活の儀式」をおこなったのです。
そこに現れたのが、キャンプに向かう通学路から迷い込んだまさとくんだったのです。
まさとくんは「伝説のゆうしゃまさと」が使っていた聖剣エクスカリバーを見事に抜き、ゆうしゃまさとの復活を人々に見せたのです。
そしてまさとくんは「伝説のゆうしゃ」と偶然にも同じ名前だったのです。しかしこれは果たして偶然なのでしょうか?どうなるまさとくん?どうなるゆうしゃ?まさとくんは無事キャンプに参加できるのでしょうか?
つづく
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